2018年5月に成立(2019年1月施行 )した著作権法30条の4はどのような検討に基づいて定められたのか。 生成AIによる著作物の無断利用は30条の4で認められるべきなのだろうか。 以下、 「 著作権セミナー『AIと著作権』 」のスライドを引用。 「新たな情報財検討委員会」では、将来生じうる技術なども含めて様々な検討が行われ、その中で 生成AIについても話し合われていた 。 新たな情報財検討委員会 報告書 平成29年3月 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2017/johozai/houkokusho.pdf AI生成物が問題となる可能性なども含めて 様々な 検討を行った結果、「引き続き検討を行う」という考えに至り、棚上げされている 。 「新たな情報財検討委員会」では生成AIについて話し合われていたのだが、 著作権法改正に向けた検討が行われた 「文化審議会著作権分科会」 では 、生成AIについて検討が行われていない 。(「30条の4は生成AIを想定していた」という意見は、「新たな情報財検討委員会」で生成AIについて話し合われていた事を根拠とした誤解) 文化審議会著作権分科会で主に検討された上記6つのサービスのうち、「システムのバックエンドにおける複製」と、 「所在検索サービス」や「情報分析サービス」の検索・分析用データベースを作成する行為、「その他CPS関係サービス」の一部分、一定条件下においての「リバース・エンジニアリング」などが、下のスライドで示された「 著作物の本来的利用には該当せず,権利者の利益を通常害さないと評価できる行為類型 」である「 第1層 」と判断された。 「情報分析サービス」は元のデータを参照可能にするものであるため機械学習とは異なる。そして、「翻訳サービス」は機械翻訳ではなく、 「具体的には,屋内外の看板や案内図,食堂のメニュー表等について利用者が端末をかざして撮影した画像を事業者のサーバに送信すると言語情報が利用者の使用言語に翻訳されて表示されるようにするサービス」などとされる。この「翻訳サービス」は「 公共的政策の実現のため権利者の利益との調整が求められる行為類型 」である「 第3...
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